こんにちは、こんばんは、某人間より親しみを込めて。

今回は、映画T2 トレインスポッティング2のレビューです。
(原題:T2 Trainspotting)

 
引用:SonyPicturesJapan

公開:2017年
監督:ダニー・ボイル 
出演:ユアン・マクレガー、 ユエン・ブレムナー、
   ジョニー・リー・ミラー、ロバート・カーライル、
   アンジェラ・ネディヤルコーヴァ

ストーリー

20年前。
仲間達を裏切り、 大金を持ち逃げ、
オランダへ移住したマーク・レントン(ユアン・マクレガー)。 

定職につき、結婚もしたレントンだったが、
突然、郷愁の念に駆られ、 
故郷スコットランド・エディンバラを訪れる。

そこでレントンは母の死を知る。

そして、レントンは、未だにヘロインを
断つことが出来ないスパッド(ユエン・ブレムナー)、
小さなパブを経営しながら、ゆすり、売春で
生計を立てるシック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)と
その恋人・ベロニカ(アンジェラ・ネディヤルコーヴァ)、
殺人罪で服役中に脱獄を決行し、
レントンへの復讐を誓うベグビー(ロバート・カーライル)達と再会を果たしていく。

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感想 ネタバレなし

2600円。
(某人間ブログの採点方法に関してはこちらの記事に参照) 

かつて全世界の若者を中心に
熱狂の渦を巻き起こしたUK発青春映画、
「トレインスポッティング」の続編。

薬物中毒から抜け出せず、グダグダと生きながらも、
日々葛藤する若者達を描いた脚本
イギーポップやアンダーワールドのトリップ感のある音楽
ダニーボイルの映像センスが相まり、
不朽の傑作と成り得た前作は、
公開から十数年経ってから鑑賞し、
登場人物達と生きた時代の違う某人間ですら夢中になりました。

そして、そこから20年後の物語
同じ役者達が20年後に演じると知った時は、
世界と一緒に私も熱狂。

空腹は最大の調味料とは言いますが、
「トレスポハングリー(?)」に陥っていた私にとって、
作品がどんな出来であろうと「美味い!!」と唸ってしまうであろうことは、
鑑賞前から判りきっており、
そして、鑑賞後には、
続編とはまさにこう言うことを言うんだ!!
声を大にして叫びたくなりました。

タイトルに2と付けて、
前作と同じ人物達が新たな物語に巻き込まれるだけでは、
続編とは言えない。

前作と本作が地続きであることを感じさせつつ、
その空白期間による人物、背景の経年変化
決して大げさにではなく、さりげなく表現する。

本作は、これが正しい続編の形か、と
私に新たな映画の評価基準を与えてくれました。

では、内容はどうだったのか、と言うと・・・
正直、熱量は前作ほどではありません。

悪い言い方をすると監督の演出、役者の演技共に
小慣れた感じで、前作にあった荒削り感は無くなっていました。

しかし、私にとってそれは欠点ではなく、
20年と言う時がもたらした登場人物達の
経年変化として考えると、
本作のテーマとしっかりと合致した演出だな、と感じます。

良い年した中年達が前作みたいに呆けてたら、
それはそれで痛々しいでしょ?

もし、これが計算ならまさしく、
鬼才ダニー・ボイル。

そして、本作からの新登場人物、ベロニカ。
 
T2鑑賞前は、
「誰だ、この小娘は」
「若手の女優かなんかは知らんが、
トレインスポッティングと言う作品に
下手に水は差さんでくれよ?」と
威圧的に彼女を見ていましたが、
・・・やられました。

本作において彼女は、
レントン達との比較対象として存在します。

彼女は、かつてのレントン達と同世代でありながらも
かつてのレントン達とは違う価値観、時代、世界で生きています。

そして、彼女にはもう一つ役割があり、
それは、新しい物事に挑めず、そして、受け入れられず、
懐古的に過去だけを語るレントン達に
「過去の武勇伝ばっか語ってんじゃねぇよ、おっさん」
現実を叩きつける、と言う役割。

つまり、鑑賞前に
ベロニカというトレインスポッティングに新規参入した人物を
受け入れられず、異物としてしか見れなかった私自身もまた
彼女にそう言われる人間なのです・・・。

そして、ベロニカ自身、作品にうまく馴染んでおり、
むしろ下手すると、もし彼女が本作にいなければ、
ただの同窓会映画に終わっていたんじゃないか、というくらいに 
重要な役割を担っています。

過去のレントンとベロニカ
そして、今のレントンとベロニカを比較して鑑賞すると
より本作を面白く感じることでしょう。

更に本作では、前作に描かれなかった
彼らがより幼かった時の交友関係も少し明らかになり、
彼らの人間関係がより肉付けされ、
また、前作の映像も効果的に挿入され、
前作を含め、作品全体の人物の構図をより厚く仕上げています。

それにより私は本作を鑑賞した後に
もう1度T2を見直すか、
もしくは1を見直すかという、贅沢な選択を迫られてしまいました。

Choose the movie!!!とレントンに言われている気分。

本作では各々がそれぞれ異なった結末を迎えます。

振り出しに戻った者、才能を開花させた者、
結局何も変わらなかった者、
望んだ未来を手にした者。

しかし、何かを得た者も
何も変わらなかった者も
何かを失った者も
ただそうなったのではなく、
その過程で多くを経験し、多くを考え、
そして、自身が選んだ未来なのです。

今のご時世、私もまた、
理想の自分と現実の自分の差異に日々落胆し、
その場しのぎの娯楽に更けながら、やり過ごし、
頭を抱える日も多いですが、
恐らく、結果だけを求めてしまっているからなんでしょうね。

本作を鑑賞して、そんなことを考えました。

しかし、そんなことを考えている私を
ベロニカが見たらなんと評するのでしょうか・・・。

"選ぶ"って難しい・・・。

気軽に鑑賞出来て、お薦めです。



保存版にはこちらをどうぞ。
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ユアン・マクレガー
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2017-09-06



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感想 ネタバレ有り

ネタバレ警報発令します。





























ベグビー 

何にも変わっていない4人に対し、
20年という時は多くの物事を変化させています。

特に一番大きな変化は、
意外にも4人とも結婚して、
その内、レントン以外には子供がいる、ということでしょうか。

それにより中身は変わっていないのに、
表面上は大人になってしまった4人からは、
前作以上に劣等感が滲み出ています。

他にも流行のツールや
クラブでの踊り方も20年前とは全く変わっていて、
特に10年以上世間から隔離されていたベグビーにとっては、
衝撃の連続だった事でしょう。

しかし、本作で最も素早く、
周りの変化に追いついたのもベグビーではないでしょうか。

最もそれを強く感じたのは、やはり
息子に対し、「俺たちを超えろ」と伝えるシーン。

20年近く子育てから離れ、
子育ての「こ」の字も知らず、
再開したかと思えば、息子を自分勝手に連れ回していた男が、
たった数日で、その台詞に辿り着くのは、
なかなか難しいことではないでしょうか。

恐らく、元々ベグビーは優しい男なのだと思います。

レントン達には、友というより
厄介な狂犬のように扱われてきましたが、
当のベグビーは誰よりも仲間思いの男で、
特に首にワイヤーが引っかかったレントンを
引っ張るシーンの彼の表情から
そんな部分が伝わってきました。

スパッド

一番ダメなやつなのに
一番憎めない男、スパッド。

前作でもその性格が功を奏し(?)、
唯一レントンから分け前を残されていました。

しかし、20年振りに再会したレントンに対し、
「俺にあんな大金を渡したら何に使うか分かるだろ!」と
開始早々、なかなかのクズ発言を彼は吐いて見せました。

そんな彼も本作でとうとう薬物を断ち、
それどころか文才があったことまで発覚し、
離婚した妻とも復縁を果たすのですから、
相変わらず、恵まれた男です。

シック・ボーイ

前作以上に出番の多かったシック・ボーイですが、
前作以上に人間味のある男として、
登場してきました。

個人的に彼の印象に残っているシーンは、
トミーを弔いに昔訪れた山に行く場面で、
「悲しくなれない」と言い放ったシーン。

これが私にはよく分かる感情で、
例えば、とても親しかった人間が、
会えなくなる距離に離れてしまうと言う時にも
言う程、悲しくならないんです。

興味がない訳でも、強がっている訳でもないんですが・・・。

むしろ、人が死んだり、会えなくなる度に
涙を流している人の方が、
おかしく見えてしまうんですよね・・・。

そして、そう言い放つシック・ボーイに対し、
レントンから、かつて子供を殺してしまったことを言及されるシーンの
シック・ボーイもまた前述したベグビーの表情に
勝るとも劣らない絶妙な表情をします。

また、個人的には、レントンをビジネスに巻き込もうと
懐かしい思い出話をしている最中に興味のないレントンを見て、
「白けやがって」と叫ぶシーンも
彼の人間味が見えて、印象深いです。

レントン

郷愁の念に駆られ、また、
職を失い、家族も失い、
再び、エディンバラに戻ってきてしまったレントン。

スパッドに対し、何かに夢中になれば、
薬を断てる、と助言し、
「マークは何に夢中になったんだ」と彼に聞き返された時に返した
「夢中で街を出た」と言う台詞はかなり感慨深かった。

夢中で出たのに、戻ってきてしまったんですから・・・。

結局、一番依存体質で、エディンバラという
ドラッグをやめられなかったのは、レントンでした。

そして、ラストでは、昔暮らした実家で暮らすことにする、と言う
まさしく、振り出しに戻る、を体現した男。

しかし、決して、それは後退ではなく、
振り出しに戻ると言う前進なのでしょう。

また、彼が変わらずとも
時代、世間はどんどん変わっていき、
一概にも振り出しに戻ったとは、言い切れません。

ラストシーンで、前作のレントンと交互にフラッシュバックするシーンは、
前作からのファンであれば垂涎の1シーンですが、
前作で倒れこんだレントンに対し、
仰け反りながらもその身を起こした今作のレントンは、
やはり、元の場所に戻ってきてはいても
前作のままのレントンではないぞ、と演出するシーンでもあるのかな、と
私は思いました。

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