こんにちは、こんばんは、某人間より親しみを込めて。

今回は、別冊マーガレットにて掲載された
岸辺露伴は動かない #9 D・N・Aのレビューです。

早速、ネタバレ警報発令します。

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ストーリー ネタバレあり

割れた窓ガラスの破片が舞う車の中。

運転席に座るその男は、
小指で額を掻き、そして、
下で上唇を軽く舐める。

その仕草を助手席で見ている女。

「あ・・・また舌・・・出した・・・」
「失敗をごまかそうとしている」
「こんな時に・・・」

男は手に持っている缶のオレンジジュースを
小指で開けると、
「さっき買った缶ジュースは無事だ・・・」
「これは君が飲めよ」と言い、その女に渡す。

「大丈夫だよ、心配しないで」
「恐がらないで・・・君は、何も恐がらなくていいんだ」
「きっといいヤツ・・・」
「オレはきっといいヤツ」

男の額から血が上に滴る。

「司法試験さあ・・・」
「合格してからって勝手に遅れさせたけど・・・」
「『結婚式』・・・やっておくべきだったな」
「そうしとくべきだった」

歩道には大破し、ひっくり返った軽自動車と
その軽自動車に衝突したと思われる大型トラックが、
煙を上げている。

そして、現在。

子供達が遊ぶ公園の傍にある
カフェのテラス席に
岸辺露伴山岸由花子、そして、
1人の女性が座っている。

スマホを確認しながら、
これから野球観戦をする予定がある、と言う露伴に
「驚き・・・キャライメージ変わったわ」
「先生・・・いつから野球ファン?」と由花子が返す。

そして、由花子は露伴に対し、
同席する女性、片平真依を紹介すると、
彼女は公園で遊ぶ子供の中にいる
ワンピースを着た女の子が、自身の娘
真央であると、
今年で真央が3歳になる、とを伝える。

「お願いよ、先生」
「きっとご興味のある話」

そう言う由花子に
「僕でお役に立てるなら・・・」
「とっても嬉しいでェェ〜〜〜すッ」と
スマホを確認しながら、露伴は、気の抜けた返事をする。

「当時、私は新婚でしたが・・・夫を自走車事故で亡くしまして・・・」

真依が語り出す。

「でも事故から後15年の時間が過ぎ去っても・・・」
「また『誰か』・・・夫以外の男性を好きになったりするのか?・・・と
ずっと考えて過ごして来ました」

そこから真依は夫の死後、
数人の男にあったが、全く恋をする気持ちにならなかったこと、
娘の真央が精子バンクから提供された精子で
身篭った子供であることを話す。

「『精子バンク』からの提供っていうのは・・・つまり」
「『どこか知らない男性』の精子を医療機関が保存しておいて、
セックスなしで妊娠させる医療技術のことで良いのかい?」

そう尋ねる露伴に由花子が、
「奉仕の精神・・・」
「『健康と認められた男性』の精子よ」
と答えると、露伴は、
「今のセリフ」
「君が口にするの結構良いねぇ」
「もう1回行ってみて♡」と返す。

「驚き・・・先生・・・
セクハラするキャラにもなってる」

そういう由花子に対し、
露伴は1度鼻を鳴らすと、
「つまり・・・ということは、
僕への話の内容というのは、
娘の『真央ちゃん』についてのことという訳か」
と真依に尋ねる。

「娘は『逆さまの言葉』しかしゃべりません」
「普通の日本語は1度もしゃべったことがないんです」
「真央は歩く時足音も絶対に立てません」
「ある日、真央のおしりに『シッポ』が生えて来ました」
「そして、『足』・・・立ってる足元がじっとり濡れるんです」

真依が娘の奇妙な体質について話終えたところで、
露伴は背後に気配を感じ、はっとする。

そこには、真央がいた。

下まつげが長く、もみあげも顎まで伸びている。

「はちにんこ」

そう言いながら、近寄る彼女の足元には、
足跡のように小さな水溜りが続いている。

由花子が「こんにちは」と真央に返すと、
真央はもう1度「はちにんこ」と言い、
真依が彼女を抱き寄せる。

「しかも・・・他人がこの『シッポ』に触れると・・・
娘の皮膚は全身が周囲に対し、保護色化します

真依はそういうと真央の腰元に手をやり、さすった。

すると、真央は彼女を抱き寄せる母の衣服と同じ色に変色する。

これには露伴も驚きが隠せず、
遂、感嘆の声を上げてしまう。

「はちにんこ」
「なくしろよ」

露伴にそう言う真央に対し、
彼は近くに来るよう促す。

「ヘブンズドアー・・・」

そして、間髪入れずに露伴は、
真央を本にしてしまうと、その内容を確認していく。

「それで・・・えーと、お母さんは『スタンド使い』とか?」

「違うわ・・・彼女に先生の『ヘブンズドアー』は見えていない」

そう返す由花子に露伴は、
「そうか・・・それで・・・僕に何をして欲しいんだ?」
と、問いかける。

「治してあげたいの!」

「『治す』?」

「真央ちゃんを普通にしてあげて!」

「『普通』」
「この『シッポ』の生えている現象は、
『遺伝』ではないと書かれている」
「安心しなよ・・・『病気ではない』」
「これは真央ちゃんの『心の形』だ、
心の形が『シッポの形』として外に現れている」
「見える『スタンド能力』と考えても良い」
「真実は治すな・・・そーゆーことだ!」
「以上!じゃっ!」

そう言い切ると露伴は由花子たちに背を向け、
野球観戦へ向かう。

しかし、由花子は彼をそのまま見送らない。

「何も解決してないッ!!」
「真央ちゃんを治してあげてッ!!」

そう叫ぶ由花子に露伴は返す。

「断る」
「僕のは治すスタンドでもない」
「それに『治す』って何を『治す』んだ?」
「そもそも『普通』ってのも良くわからない、
『普通』の基準はどこからどこまでが『普通』だ?」
「お母さん、保護色になって5センチの『シッポ』があると言うだけで、
誰も困っていない・・・」
「これが『真央ちゃん』だ、何1つ悪くない・・・
問題はどこにも見当たらない」

「真央はきっとイジめられるわ」

真依は静かにそう返す。

「そうかも知れないな」
「現実はイジめられる・・・・・・」
「だが断る」

そして、露伴は精子バンクで子供を産んだ真依の選択した道だ、
真央も真依もそれに従うべきだ、と言うと、
僕はそれに立ち入らないと言い残し、
もう1度、背を向ける。

そんな露伴に由花子は痺れを切らす。

「待てェーーーーーコラァ!!」
「岸辺露伴ーーーーッ!!」

「それも断る」
「見ろよ・・・友達と楽しそうに遊んでるみたいだがな」

「ウソでしょ・・・待ってよ・・・何だよ!」
「あいつ・・・酷いッ!どこまで気難しいんだ・・・」
「あんなヤツ破滅して、一人ぼっちで野たれ死ねばいい」
「真依さん・・・ごめんなさい、紹介したのにお役に立てなくて」

そう言う由花子に対し、真依は悲しそうな表情を浮かべながらも
露伴の言う通りだ、と
由花子に感謝の言葉を述べる。

しかし、そうは割り切れない由花子。

「待って、真依さん」
「あの・・・わたし見たの・・・」

そう言うと由花子は真央が本にされた時に
チラッと真央の父親の情報が書いてあった、と
真依に伝える。

「氏名とかではないんだけど・・・只それだけなんだけど」
「精子バンクの当時ーーー父親は、
『山形』に住んでて・・・年齢は『30さい』」

そして、由花子は自身の額の右側を差しながら、
「身体的特徴として、額のこっち側に『キズ』の跡がある」
そう伝えた。

その日から真依はずっと、
由花子から伝えられたその情報のことを考えていた。

そして、ある日。
駅の構内。

真依は1人の男に目を惹きつけられる。

その男は、真央と同じように長い下まつげと
顎まで伸びる特徴的なあごひげを持ち、
山形から繋がる電車を利用していた。

しかし、彼女が改札に目を離した隙に
その男はいなくなってしまう。

が、その男は、彼女のすぐ後ろにいた。

その男は彼女の傍にある自動販売機でジュースを買っている。

そして、先程までは見えなかったが、
由花子が言っていた通りの場所に
十字の傷跡がある。

それらの一致に真依は大きく動揺する。

そして、その男はそんな彼女に鋭い目線をやると、
「どうぞ・・・」と話しかけてきた。

「自販機・・・どうぞ」

その場から立ち去る男。
その足元には、足跡のように水溜りが続いている。

「う・・・うそでしょ」
「こんなことが・・・この人、似過ぎている」

由花子の言っていた情報と真央の体質に
共通点がありすぎるその男を
真依は尾行する。

そして、その男は次第に彼女の知っている場所へと向かっていく。

公園だった。

その男は、真央が遊んでいる遊具までまっすぐに近付くと、
真央を抱き上げ、止めたタクシーに一緒に乗り込もうとする。

「なんですって・・・うそッ!」
「何をする気ッ!?」
「どこへ連れて行く気!?」
「娘に触るなッ!」

一心不乱に真依はその男の元へ駆け寄る。
男も彼女に気付く。

男に追いつき、娘を取り返そうと
男と揉み合いになる真依。

しかし、その瞬間、真央は、
その男の衣服の保護色となり、
するりと男の体を滑り落ちる。

そして、真央が元いた男の腕の中に
小さな男の子が現れる。

〈イタズラ・・・『保護色』の・・・
この男性の子供にかぶって・・・
真央・・・?あなたの『イタズラ』?〉

「お母さん、大丈夫ですか?」

狼狽する真依の様子を見て、
男が彼女に話しかける。

「もしかして、このわたしの『額のキズ』・・・
恐がらせてしまったのでしょうか?」

「い・・・いえ!」
「それは・・・全然違います・・・」
「娘のイタズラをわたしが勝手に勘違いしてしまったようなのです」
「大騒ぎしてしまってすいません」

頭を下げる真依。

「15年以上も前の出来事なんですが、
高校生の時、登山をしていてやっちゃいましてね」
「崖から滑落したんです」
「両親によると・・・わたしは1度死んだのだそうです」
「・・・戻って来ましたけどね」

そう言うと男は小指で額を掻き、
舌で上唇を軽く舐める。

その仕草に真依ははっとする。

「恐がらないで・・・あなたは何も恐がらなくていいんです」
「大丈夫」
「あなたは心配しないで・・・おびえたりしなくていいんです」

そう言い、男はもう1度、小指で額を掻く。

「失礼ですが、以前、どこかでお会いしたことがありますか?」

真依のその問いに男は、
「いいえ」
「でも、『お嬢さん』と『息子の友也』とはこの同じ保育園」
「いつも仲良しに遊んで頂けているみたいで・・・
ありがとうございます」
「今日も迎えに来たのです」
と返し、続けて、自身の名前が尾花沢ということ、
そして、妻とは既に別れており、
週に1〜2回だけ、山形から息子に会いに来ていることを明かした。

「ママ、たいわかドノーッ」

「あ・・・それわかったぞ」
「『ノドかわいた』だ!」
「そうだ、丁度買ったばかりでジュースがある。これでいいですか?」

そういうと尾花沢はリュックから
先程、自販機で購入した缶ジュースを取り出し、
小指でプルを引く。

その仕草に真依は、再び驚く。

「はい・・・きっといいヤツ

尾花沢はそう言いながら、真央にジュースを手渡す。

「きっといいヤツ」

ジュースを受け取った真央も真似して、そう返す。

「お母さんもいかがですか?」

「まさか・・・ああ・・・あ・・・」
「あのぶしつけだとは思いますが、ご職業は・・・」

「わたしは山形市で弁護士事務所に勤めております」
「でもついこの間・・・司法試験にようやく合格したばかりの
新人でまだまだなんですが・・・・・・」

真依の瞳には次第に涙が浮かび上がってくる。

「いただきます」

「え?」

「缶ジュース・・・是非、頂きます!」

尾花沢は小指で額を掻く。

「やっぱり・・・」
「以前どこかでお会いしましたか?」
「どこだったのか?」
尾花沢がそう真依に尋ねる。

「ええ・・・そう思います」
「お逢いしています」

「きっといいヤツ」
男が真依を指差す。

「きっといいヤツ」
真依も尾花沢を指差す。

後日。
すれ違う露伴と由花子。

「あれ、先生」
「露伴先生・・・ごきげんよう」

「『山岸由花子』。元気?」

「わたしは元気ですよ」
「ところで、この前の母子・・・
真依さんと真央ちゃん」

「えーと、誰だっけ?それは・・・」

「以前、先生が冷たくあしらった下まつげたっぷりの母子のことよ」
「あのお母さん・・・結婚したそうよ」
「お相手は『精子バンク』ーーー
真央ちゃんのお父さんと!」
「なんと出逢って3ヶ月〜〜〜」
「わたしの推測だと・・・全部『真央ちゃんの陰謀』!」
「きっと真央ちゃんの無意識が呼び寄せたのよ!」

由花子が少し微笑む。

「先生、驚いてるぅーーー」
「めっちゃ驚いてる顔ッ!あはははははは」
「じゃっ!またね♡」

由花子がその場を立ち去り、立ち尽くす露伴。

「確かにビックリだ」
「そういうこともあるのか・・・」
「フフッ♡」

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感想

ジョジョが別冊マーガレットに掲載される。

それを知った時に
今まで多くの雑誌とコラボを果たして来た
ジョジョではありますが、
流石に読者層が違い過ぎるのでは?と
少し不安になりました。

しかし、読後は、なるほど、こう落とし込んで来るか、と
ジョジョ読者もマーガレット読者も
楽しめるであろう物語が、そこにあり一安心。

荒木飛呂彦が運命的(場合によって、超御都合主義とも言える)な
ラブストーリーを手掛けるとこうなるのか、と
今までなかった新たなジョジョを見ることが出来ました。

某人間的には、「動かないシリーズ」で、
1番好きな話かもしれません。

シリアスな話が多い「動かないシリーズ」の中では、
割と心温まる話で、
物語もハッピーエンドを迎え、
読後は暖かい余韻に浸れました。

また、今回は、山岸由花子も再登場し、
ジョジョファンには垂涎の1話でしょう。

そして、由花子も漏れることなく、
荒木先生の絵柄の変化の影響を受けておりましたが、
個人的には今回の由花子の方が美人に感じます。

しかし、あの強気な口調や太い眉毛はあの頃のままで、
その感じがまた、男の心をくすぐります。

由花子に「じゃっ!またね♡」なんて言われた日には、
爆死する自信があります。

まさにキラークイーン。

また、アンジェロ岩も再登場を果たしています。

そして、「動かないシリーズ」の割に
動きまくることに定評のある露伴先生ですが、 
今回はしっかり「動きませんでした」。

そこもスピンオフらしくて、ベネ。

別冊マーガレットはなかなか手に取りにくいな、と感じる方、
近辺の書店に取り扱いがない、と言う方には、
公式HPで電子書籍の配信もありますので、
是非、そちらを利用するのをお勧めします。

では。

過去の「動かないシリーズ」が収録されています。


実際にルーブルに展示された作品の愛蔵版。
漫画を超えた芸術的な一冊。




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