こんにちは、こんばんは、某人間より親しみを込めて。

今回は、映画サウス・バウンドのレビューです。



公開:2016年
監督:ロクサーヌ・ベンジャミン、デビット・ブルックナー
パトリック・ホーバス、ラジオ・サイレンス
出演:チャド・ビレラ、ファビアン・テリース



あらすじ


荒野のフリーウェイを舞台に5つの恐怖体験が展開し、次第にそれぞれの物語は、繋がっていく・・・。

「The Way Out」
深夜のフリーウェイに車を走らせる2人の血塗れの男。

2人はある者達から逃げていた。

それは、下半身のない翼を持った骸骨で、どこまで行ってもそれらは、2人を追い続ける。

朝になり、二人は、道沿いのガソリンスタンドに寄るが、既にそこにも骸骨達の魔の手が及んでおり、急いで、その場を後にする2人だが、何故か2人を乗せた車はガソリンスタンドに戻ってきてしまう・・・。 

「Siren」
翌日のライブに向け、荒野に車を走らせる3人の美女。

しかし、道中、彼女達を乗せた車がパンクを起こしてしまう。

そこに偶然、夫婦が車で通りかかり、車の修理が出来る知人がいるから、と3人を自宅に招く。

しかし、その夫婦は、死んだバンドメンバーのことを知っていたり、洋服ダンスにナイフを隠していたりと、奇妙な言動が相次ぐ・・・。

「The Accident」
町から離れた深夜のフリーウェイで、男がよそ見運転で女をはねてしまう。

男はその女にまだ息があることを確認し、急いで911に電話をかけるも、近くに現在地を表すものがない為、オペレーターは男に轢いた女を車で病院へ運ぶよう指示する。

そして、男はその指示通り撥ねた女を後部座席に乗せ、町に向かい病院を見つけるが、そこは廃病院だった。

そして、その事実を911のオペレーターに伝えると、そのオペレーターは、その病院の器具を使って、男自身が治療を行うようにと伝える・・・。

「Jail Break」
男女が集まるバーにショットガンを持った男が乗り込んでくる。
そして、その男は「俺は強盗じゃない」と叫び、1枚の写真を取り出した。

「俺の妹を知らないか」

息も切れ切れにそう問い質す男。
しかし、彼はまだ知らない。

このバーにいる者達が、人間ではないという事を・・・。

「The Way In」
大学に進学する娘と最後の週末を過ごそうと両親は娘と3人、遠出した町で一軒家の宿を借りるが、そこに老人のマスクを被った3人の男が強盗に入る。

しかし、3人の目的は金品ではなく、父親がかつて犯した罪に対する復讐だった・・・。
 
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感想 ネタバレなし


1850円

(某人間ブログの採点方法に関してはこちらの記事に参照)

砂漠の荒野を中心に5つの物語が展開するオムニバスホラー。

本作では、それぞれの物語が始まる前にラジオから不気味な男の声が流れ、ストーリーテラーさながらにこれから始まる恐ろしい物語を詩を読むように暗示します。

まるで、アメリカ版「世にも奇妙な物語」。

そして、本作には、4人の監督が携わっており、全く異なるホラー要素がふんだんに詰め込まれています。

モンスター、ループ、邪教徒、悪魔、そして、廃病院に人体解剖・・・。

まさに「ホラーのバラエティパック」という表現が的確で、その上、印象的な演出も多々あり、お蔭で飽きる事なく、鑑賞し終えました。

個人的には、好きな作品です。

鑑賞前はB級臭いなぁ、と思っていましたが、しっかりと物語は作り込まれており、それは杞憂に過ぎてくれました。

その上、オムニバスという形態を取る事で、物語がだらつかなかったのも良かったです。

しかし、1つ1つの話を短い時間で起承転結させる為に謎が謎のままで終わっている設定や展開が幾つかあり、少々モヤモヤ感が残るのも事実。

ですが、そのモヤモヤ感が、得体の知れない何かを感じさせる不穏な空気を醸し出す演出として、上手く活かせているので、大きなマイナスポイントとは、思いませんでした。

そして、秀逸なのがこのポスター。

28305
引用:ciatr

悪魔を象徴し、デビルスターとも呼ばれる逆五芒星を荒野を遮る車道で形どったポスター。

それぞれの車道が5つの物語を意味し、また、それらが部分的に交差しています。

しかし、部分的に交差しているだけではなく、星型は一筆で描くことの出来る図形でもあります・・・。

つまり、それが意味するのは・・・。

気になる方は是非、本作を鑑賞して見て下さい。

しかし、1枚のポスターで、1つの作品をここまで簡潔に表現するとは、見事の一言です。


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感想 ネタバレ有り

日本版予告編を許してはならない


某人間、本作をレンタルで鑑賞したのですが、本編前に幾つか予告編が収録されており、その中に本作の予告編もありました。

やられた・・・。

本編が始まってすぐにそう思いました。

どんでん返しとまでは言いませんが、最初の物語と最後の物語が、時間軸上でループしているというのが、本作のオチだと思うのですが、日本版の予告編を見てしまうと、一つ目の物語で、その事実に気付いてしまうのです。

しかもその予告編が、本編の予告編に収録されているという命中率100%の渾身の一撃。

この回避不可の一撃を我々は許してはならない(怨)



秀逸な演出の数々


ネタバレなし感想でも触れましたが、観客を「おっ」と思わせる演出が、至る所に仕込まれています。

特に私の印象に残っている演出は、最初の物語で、2人の男が、ガソリンスタンドにループしてしまう場面なのですが、最初は2人の男の視点で、同じ場所にループしていることが示唆され、次に自然な流れで、そのガソリンスタンドに居るウェイトレスの視点で、その事実が示唆されます。

この演出には、思わず息がこぼれました。

また、「Siren」で、納屋に隠れた主人公が闇に溶け込み、開きっぱなしの扉の前を既に洗脳(?)された友人たちが、ゆっくりと通り過ぎていく演出は、自分自身が主人公と同じハラハラ感を味わうことが出来、ホラー演出における視覚効果の極みだなぁ、とただただ感心してしまいました。

そして、これは演出ではないのですが、「Accident」で、男が切開した女の腹部に肘あたりまで手を突っ込んでいる画もかなり印象に残っています。

真昼間の眩しい太陽の中に黒く映える下半身のない骸骨の不気味なヴィジュアルも含め、物語の筋だけではなく、しっかりと目で楽しむことも出来る映画です。
  
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