こんにちは、こんばんは、某人間より親しみを込めて。

今回は、映画私の男のレビューです。


引用:シネマトゥデイ

公開:2014年
監督:熊切和嘉
出演:浅野忠信、二階堂ふみ

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あらすじ


北の大地。
雪が荒れ吹く中、流氷が浮かぶ海から1人の少女が這い上がってくる。
彼女こそが、この物語の主人公、腐野花(二階堂ふみ)である。

1993年、奥尻島を北海道南西沖地震が襲った。
火災、津波により多くの犠牲者を出したこの天災は、
花の家族全員の命を奪い、花を孤立させた。

そして、運良く保護された花が、避難所を拠り所なく徘徊していると、
1人の男が彼女に声をかける。
彼の名は、腐野淳悟(浅野忠信)。
彼は紋別にて海上保安官をしている。

淳吾は近隣住民から慕われている大塩という男に
花を引き取る、と 相談し、
お前に家族は作れない、と大塩から叱責されながらも
遠い親戚、ということで、花を引き取る許可が出る。

花を連れ、淳悟の自宅へ帰る車中。
花を抱いて、精一杯、津波から逃げた父のことを思い出し、
彼女は今まで我慢していた涙と嗚咽が溢れだす。

それを見た淳悟は花の小さな手を握り締め、
俺はお前のもんだ」と語りかけると、
花は彼の手を握り返した。


時は流れ、花も中学生になった。
1人海を見つめる花の元に大塩の娘であり、
淳悟の交際相手である小町が現れる。
花は小町の目元の化粧が綺麗だと褒めるも、
まだあなたには早い、と言われ、肩を落とす。 


後日、小町の勤める銀行。
そこに地元の警察官、田岡が巡回だと訪れる。
そして、銀行の前を通った淳悟に田岡が手を振ると、
小町は「やめてください」と意味ありげに
田岡をたしなめた。

その日の夜、小町と淳悟は会っていた。

車中、昨日はどこに行ってたの、と問いただす小町に
淳悟は仕事だった、と無愛想に答え、
2人はラブホテルに向かう。

身体を重ね、交わる2人。
淳吾は小町の背中に傷跡が残る程、爪を立てる・・・。

そして、その後、淳悟がシャワーを浴びている隙に、
小町は彼のコートを漁り、中から
明らかに自分宛にではない、綺麗に包装されたピアスを見つける。
それを小町は帰り道、車の中から捨てたものの
小町は、淳悟に対する不信感を募らせて行った。


ある日、友人たちとそりに興じる花を見かけた小町は、
それを眺めていた。
すると、花も小町に気付き、あどけなく駆け寄ってくる。

小町は何か飴玉の様なものを口に含んでいる花に
それは何、と聞くと、
花は徐ろに舌を出し、そこにはピアスが乗っていた。

「また買ったんだ」
と、小町はこの間のピアスが花に用意されたものであったと知り、
2人の関係を訝しむ。
そこに追い打ちをかける様に、
「あの人はね、寂しくてじっと我慢しているの」
「家族っていう心が欲しいんだよ」
「他人じゃ駄目なんだよ」と、
淳悟の気持ちが自分に向いていないことを自覚している小町に対し、
宣戦布告とも取れる発言をする。


そして、大塩の家で開かれた宴会にて、
小町は花と淳悟がお互いの指を咥え合う場面を目撃してしまい、
淳悟に話がある、と伝えても相手にされず、
彼女は淳悟と別れ、東京に出て行く。

そして、その頃には、花と淳悟は既に
お互いの身体を求め合う様になっており、
更に、仕事柄、淳悟の長期不在も相まって、
2人の愛は激しさを極めた。

淳悟はそこに「家族」を求め、
花はそこに、痛い程伝わってくる淳吾の寂しさを埋めたいという
誤った献身をあてがっていた。

2人が交わる際に降った血の雨は、
2人の過ちを表したものなのか、
もしくは、2人の血に濡れた未来を暗示したものなのか。

運悪く、その2人の歪んだ甘美
花の様子を見に来た大塩が、窓の外から目撃してしまう。

大塩はその場は立ち去ったものの
その後、街中で花を見かけ、声をかける。

心なしか大塩の声色もいつもより暗く、
ばつが悪くなった花は大塩の元から立ち去ろうとするも
大塩はその老いた体で花を追いかける。

2人は流氷の流れ着く海岸まで辿り着き、
そのまま花は、流氷の上まで逃げ続けた。
そこが危ないと注意しつつも大塩も花を追いかけ、
流氷がなくなる海との境目まで、2人は辿り着いた。

大塩は、花に「旭川に行った」という。
今朝のことを目撃した彼は、花を早く今の間違った環境から抜け出させたい、という善意で、
遠い親戚に花を引き取ってもらう様、
話をつけに旭川まで出向いていた。

しかし、そんな善意も花の淳悟に対する愛を前には、耳に届かず、
花は揉み合いの結果、大塩を突き飛ばし、
そして、彼が転んだ流氷を感情的に蹴り続けた。

その際、大塩はある事実を伝えようとするも
花は、
私と淳悟は親子なんでしょ」と
既にその事を全身で感じて分かっていたと言い放つ。

気付けば大塩を乗せた流氷は海岸から遠く離れてしまっていた・・・。

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感想


1700円

(某人間ブログの採点方法に関してはこちらの記事に参照)

知人にお薦めされ、鑑賞に至った作品なのですが、
恐らく、薦められていなければ、手に取っていなかったであろう作品。 

某人間、恋愛系の映画には、なかなか食指が動かない質でして・・・。

しかし、見てよかった。
食わず嫌いはいけませんね。
恋愛映画ではありませんでした。

本作は「近親相関」を主軸とした物語で、
浅野忠信と二階堂ふみが共演を果たしたサスペンスになります。

北海道の過酷な大地が、舞台の大半を占めており、
少し前に鑑賞した「海炭市叙景」に雰囲気が似ているな、と
思い、調べてみると同じ監督でした。
 
作中の時代により、使われているカメラも違い、
"画"の演出が実に素晴らしい作品でした。

そして、本作はサスペンスでありながらも、
家族の形」に焦点が向いた作品だな、と感じました。

劇中、詳細は語られませんが、 淳悟が幼き頃の花に家族の事を聞かれた時、
「クソみたいな家族だ」と、 答えたことから、
淳悟の家庭でも、本来正しいとされる家族が構築されていなかったことが、推測されます。

従って、家族の作り方を知らなかった淳悟は、
突然、現れた「家族」に対し、誤った愛情表現をしてしまう。

ただ「親父になりたかった」淳悟は、最後、花と距離を置き、
その上、花が選んだ男と彼女が結婚することで、
その誤った道筋を矯正出来た、と感じますが、
実際にはそう簡単に行くものではなかった。

このお話自体は現実味がとても薄く、感情移入するような話ではないですが、
案外、普遍的なテーマが隠されているのでは、と私は感じました。

それは、「我が子の旅立ちを嬉しくも思い、また、寂しくも思う父親」の感情です。

あくまで「近親相姦」は、人生に比べ、圧倒的に短い作品上で、
親子の深い絆を表現する一つの装置であっただけで、
本来のテーマは上記のものではないか、と考えます。

上記のテーマを作中の出来事に当てはめると、
花の凶行も「父親と離れ離れにされてしまうことに危機感を感じる感情的な期間の娘の殺人」という風に取れ、
案外すんなり共感できます。

しかし、あくまで私の感じ方なので、原作者や監督が、
そこを目指した作品にしたかったのかは、判りませんが、
そういった視点で見てみるのも、また、一味違って見えて、面白いのではないか、と思います。

では。
 
私の男
浅野 忠信
2015-04-02


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2015-02-03

 
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